なんで居ないんだろう

身内の誰かが亡くなるというのを父が亡くなってから30年過ごしてこの年になったけど

子供の何かが消えていくのは存在がなくなったという現実を突きつけられる

健康保険証を返したり

年末調整の扶養家族欄から名前が消えている

生命保険の払い込みも6月26日以降要らなくなって記帳欄は空白のままだ

まだ暫くは学習塾のDM辺りは届くのかもしれない

何だか今となってはそれすら覚えていてくれてありがとうという気持ちになったり、もう居ないのにという気持ちになったりして複雑な気持ちになる

仏壇がリビングに鎮座してあの子がいた時には飾る事もなかった生花達がキラキラと咲いている

花は祭壇のように飾られた娘の写真を取り巻きあの子は居ないんだよと言っているようだ

それでも帰宅すると真っ先に目に入る娘の遺影がお帰りと言っているようだったり、私は確かに存在したのと笑っているようだったりして毎回私は泣きそうになるのを堪える為に目を背けてしまう

よく想像するのが娘が生前していた「お帰り〜」という声とか「ママ〜」と何か言いたい事がある時に言う話し方

今でも目の前にいるように思い出すので一瞬幸せな気持ちになるがその後溢れそうになる涙を堪えるのが辛い

あの子ないない秋が終わってもうじき冬がくる

それすらなんだか信じられない

私が死んでも朝になれば太陽は昇る

それと同じように季節は残酷に過ぎていく

今はまだ生々しく残っている娘の持ち物も色褪せて主人のいなくなった部屋のアイテム達も劣化していくのだろう

生きていたらいくらでも断捨離出来そうな物ですら愛おしい

娘の最大の遺品達のワンコ

一番の思い出を共有した彼らの寿命が尽きたら私はどうしたらいいんだろう

とは言え今彼らと過ごすのも辛い

必ず一緒にいた娘がいないから

一人で出来ない事も二人でなら出来たお世話の数々

時々次男が手伝ってくれるけどやっぱり手伝いの域を出ない

そんな時はなんで居ないんだろうとワンコ達に呟いてしまう

なんで居ないんだろう…なんで?

 

この言葉を私は毎日呪文のように呟いている

 

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