携帯の歌声

携帯アプリにカラオケのアプリがあった

前に開いた時はどんなものか分からず閉じてしまったけど今回は慎重に見てみた

 

未発表?ってなに

アップロードするとネット上に上がるらしい

6曲入ってた

最後の1曲は亡くなる日の3時13分

 

その後2時間にどんな心境になってしまったのかわからないけどずっと足踏みしていた一歩を踏んでしまった

でも3時と言えば私も寝付いたばかりの時間で

その頃はまだ歌を歌っていたんだなと思うと本当に悔やんでも悔やみきれない

 

恐る恐る歌を再生した

いつもの娘の歌声が流れた

 

細くて高くて綺麗な声

 

夫にも教えた

彼は娘の歌を聞いたことが多分ないから

じっと聞き入る夫の顔は泣くのを堪えているように見えた

 

そのうち夫は最後の日娘だけで犬のお世話に行かせた事を言い出した

ついて行ってあげてたらよかったのにと

それは私もあの日からずっと自分に対して思い続けているし後悔しない日はない

1週間前から顔が暗かったともいった

私は心の中でじゃそう思ったなら声かけたら良かったし犬のお世話だって自分がついて行ったって良かった

だいたい娘とここ何年か向き合って話をしてた?と色々ぐるぐる駆け回ったけど

 

お互いを責めるのはやめようと言った

 

その後悔は私は死ぬまで待ち続けるし息子達だって後悔はあるだろう

家族中でお互いを責めたりしても何の解決にもならない

自分の後悔は自分だけで背負って行けばいい

 

私達は寄り添って行かなければ崩壊してしまうのだから

残された者は精一杯身を寄せて家族という絆の中で傷と喪失感を癒していくしかない

 

その晩夫が言った

寝室にいるような気がするから側で寝てやって欲しいと

部屋に行ったら何故か背中がピリピリした

私は隣に娘が寝ていた頃を思い出しながら寝た

 

少し暖かい気持ちで眠れた

 

朝起きたらいつもの悲しい朝だった

亡くなってからが夢なら良かったと思い続けている

いつもの朝だ

 

おばあちゃんに声がを聞かせてあげたいけど辛いかな…

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